陽一を好きだと意識し出してから一ヶ月が過ぎて、季節はもう夏になっていた。


もうすぐ夏休みなこともあって、
ここのところ期末テストで大忙しだった。



陽一との関係も相変わらずで、
生徒以上、恋人未満の状態のまま。



そして今は放課後。

ラインで陽一に呼び出されて、
ご機嫌で科学準備室に向かってたりする。



コンコン、
「失礼しまーす」

ノックしていつものように中に入ると

そこには陽一ともう一人、
何故か小宮先生の姿があった。


「あら、また生徒さんだわ
相変わらず人気あるのね」


私の前にも生徒が来ていたようで、
小宮先生は笑いながら教室を出ていった。



小宮先生が出ていったのを確認した陽一は椅子に座ったまま私に手招きをした。



「ユメ、
こっちこいよ」


呼ばれるがまま傍に行くと
陽一は軽々と私を抱きあげて、
自分の膝に座らせた。



これもいつもの事で
恥ずかしがりな私でも

そろそろ慣れてきた頃。




「それにしてもあっちぃなぁ、
もう7月か」

「じゃあくっつかなきゃいいじゃん」


うわっ
またつい可愛くないこと言っちゃった。

恥ずかしいからって
こんな態度とってたら
嫌われちゃうのに…。


「だってお前抱き心地いいもん」


後悔してる私の肩に陽一は顔をすり寄せた。


私の発言なんて全く気にしてない。
そんな表情で私を見つめる。


「陽一猫みたい」

「やべ。
このまま寝てきそ~…」



子供のような事をいう陽一を見て、
嬉しくて愛しくて仕方が無い。



少し空いた窓から夏の風がすうっと入ってきて

火照る私の頬を冷やす。




陽一の腕の中に居られる
この瞬間が幸せでたまらないんだ。