「うん、
もう良くなってるわね。
よかった」


保健室の椅子に私を座らせた小宮先生は私の足を確認すると
そう言って微笑んでくれた。



「…ごめんなさい」

「あら、どうして?」



自分の勝手な気持ちで
会いたくない先生とか思ってしまった。

……こんなに心配してくれているのに。



いきなり謝った私に小宮先生はまた綺麗な顔で微笑んでくれて。


その笑顔はとても優しくて、
先生からは甘いいい香りがして、

内面も綺麗で生徒に人気があるのも
凄くよく分かる。


本当に素敵な人……。



「…先生と陽、…柊先生は

……恋人なんですか?」



小宮先生を見つめながらついそんなことを口走ってすぐに自分の口を塞いだ。



「…す、すいま「あぁ、この前の聞いてたからそんなこと気にするのね?」


そして、
口元に手を添えてふふっと笑った小宮先生はそっと教えてくれた。



「私と先生は高校の同級生で、
元々付き合っていたのよ。

大学は都会の方に出て、
しばらくしたら別れちゃったけど…

ん~、そうね
私は今でも好きかもしれないわ」



「ほかの生徒には内緒よ」と照れた顔して笑った小宮先生は大人なのにとてもとても可愛らしくて
同じ女なのに見とれてしまう。





…そしてその顔を見てた私の頭の中にひとつの記憶が甦った。




…そして気づいてしまった。



................................................



「陽兄ちゃん今日はうちに居ないや。
お部屋に迎えに行っちゃぉ」

ユメは陽一の部屋にこっそりと入ると、聞いたことのない女の人の声が聞こえ、ドアの前で立ち止まった。



「陽…一っ…」




....................................................








陽一とあの時一緒にいた女性。





陽一の部屋で
抱きしめあってキスをしていた


あの時のあの女性の声は、





今目の前にいる小宮先生だった。