「久しぶり!陽兄ちゃん!」


玄関を開けてすぐ、将人は嬉しそうに陽一に抱き着いた。


「暫く見ねえ間にでかくなったじゃねぇか将人」


「まだ陽兄ちゃんの身長は抜けないけどね。」



十年近く見ない間に陽一の髪は黒く染まっていてひとつに束ね、
スーツ姿でメガネをかけていて口が悪い事以外、昔の面影なんて全然無くなっていた。

悔しいけど格好いいなんて思ってしまうほどで。


「ユメも久しぶり。

いい女になったな。
ま、中に入れや」

私を見てふ、と笑う顔に改めてまた緊張してしまう。




通されたリビングのテーブルには既にピザやケーキ、チキンなどのオードブルが並べられていて、

十年ぶりと言うことも忘れるくらい和気藹々とした空気で昔話が始まった。