私が伝えた言葉で
将人の顔が曇ったのが分かる。


「俺の事、
許せないとかじゃないなら

原因は…陽兄ちゃん?」



「わか…ない

将人を…好きなのは
変わってない…

でも私にも…
どうしてなのか…
よくわかんなくて…」




陽一の事なんて一言も言っていないのに、

どうして将人が陽一のことを気にするの?



それを聞きたくても
溢れ続ける涙と嗚咽が
それをさせてくれなくて

その間にも将人は
私を優しく包み込みながら
微笑んでくれていて……。


「…わかった…。

じゃあゆっくりよく考えて。

俺はいつでも待ってるから。

ユメの気持ちがハッキリしたら
また教えて?
俺のことは気にしないで。

明日からは泣かないで笑って。

約束な?」




そう言って
少し寂しそうに笑ってくれた。



「…ありがとう…」


将人は私の今の気持ちを
ちゃんと受け止めてくれた。



その後も

泣き止むまで待ってくれて

そしてまた2人、
手をつないで帰った。





こうやって帰るのも、これが最後になるのかもしれないと思いながら…。