「........篠崎?」


「………!」




立ちすくむ私の後ろから
声をかけたのは

さっきの光景を
たまたま見ていた功太くんだった。




「........き....聞いてた....?」



恐る恐る聞くと
バツが悪そうに頷いていて。


「なんか、悪いな
聞くつもりは無かったんだけど....」


「いいよ
見られて困ることない....はず....」



じゃあ教室戻ろうか、と手招きされて
功太くんの隣に並んで歩き始めた。




「それにしても
あの子....強い子だな。

玉砕覚悟で言えるって
なかなかできないよな。

俺にもそんな勇気ないわ」


「....功太くん?」





教室へ向かって歩いてると
功太くんは何か言いたそうにしていたけど、私のスマホの着信音がそれを遮った。


「…将人からだ」

「彼氏?良いよ見て」



功太くんの言葉にラインを開けた。



【話したいことがあるんだ。

今日放課後教室で待ってて欲しい】



将人の話はきっと、
今流れている噂の事で。


それなら私もちゃんと…


【私も話したいことがあるの。
教室で待ってるね】



将人に今の自分の気持ちを
正直に話さないといけない。


そうラインを送り返して、
功太くんと教室へ戻った。