「かなり腫れてるわね。
骨には異常ないみたいだけど
しばらく大人しくしてなさい」


施設に到着してすぐ
大浴場で体の汚れを落として

引率の保健の先生に
部屋で足を見てもらった。



「ありがとうございました」


テーピングを施された足を
ブラブラ動かしてみる。


「凄い!
あんまり痛くない!」


「そう、よかったわ」


小宮先生は
女子生徒の憧れで人気がある。

知的美人、って言うのかな?

落ち着いていて綺麗な人で
こんな大人な女性になりたいな。


「女の子が一人で茂みの中で怪我までして、よく頑張ったわね」


「ユメが落ちちゃった後
柊先生に助けを求めに行ったらね?

すぐユメの事追いかけて
滑り降りていって、

その必死な顔が
超かっこよかったんだよ!」


「まあ、また先生人気でちゃいそうね」



小宮先生と話しながら
一緒にいてくれた里佳がうっとりと
その時の陽一の行動を
私に教えてくれて、

そんな私達を見ていた小宮先生が
救急箱を片付けながらクスクスと笑った。



「それでね....ユメ

昨日気が動転しちゃって、
ユメが落ちちゃったって
将人くんに連絡しちゃったの。

目茶苦茶心配してるかも…」



顔の前に手を合わせ、
申し訳なさそうに謝ってくれる
里佳をなだめながら、

今のままでは将人に申し訳無さすぎる、

一度距離を置かないと、と

胸の中で思った。