………温かい………



カサカサと静かな物音に目を開けると、
辺りはもう日が差していて
朝なんだと実感した。


陽一は眠っていた私を背負って、
山を下りてくれていた。


木々から差し込む朝日で透ける
陽一の髪が金色に光ってる。

綺麗でどことなく懐かしさを感じる。


昔安心できたこの大きな背中が
今はドキドキしてたまらない。



「おぉ、ユメ起きたか

施設が見えてきたぞ」




そう言われて歩く先を見てみると、
遠くで手を振ってくれている
里佳の姿がみえた。







「ユメ~!!
ごめんね目ぇ離しちゃって!

めっちゃびっくりしたよぉ~!!
よかった無事で....」


「心配させてごめんね」




泣いて謝ってくれる里佳を抱きしめながら無事に帰ってこれたんだ、とホッと力が抜けた。






『先生服破けてるよ大丈夫だった?』



私を背中から降ろして
歩き去っていく陽一に
複数の女子生徒が近づいていって



その姿を目で追いながら
陽一の布に巻かれた痛む右足を
静かに手でおさえた。