一頻り泣いたあと、
我に返った私は慌てて
陽一の胸から離れた。


何て事したんだろ私。
他に頼る人が居ないからって…



陽一相手にこんなことしちゃうなんて
なんかドキドキする。


「ほんと、
しっかりしてるふうに見えて
どんくさいよなお前」

「うっうるさいよっ!」



ケタケタと笑うその顔は昔のままで
不本意ながらもまた
陽一に目を奪われてしまう。



「しかもお前の番号知らねえから
お前の友達の携帯からしか
電話できねぇし」

「でも…
見つけてくれてありがと…」


「なんだよめずらしく素直だな。」


くすっと笑う陽一に
見られてるのが恥ずかしくて
思わず不自然に視線を反らせた。


「もう暗いから明日の朝にみんなと合流するぞ」

「…ほんと…?
道、わかるの?」


「お前探してる時
なんとなく地理理解した。
明るかったら割と直ぐに合流出来る」



辺りを見回しながら答えた陽一の視線が今度は私の足で止まって、

何となく気まずくて
無意識にその足を手で覆い隠した。


「めっちゃ腫れてんじゃねえか。
落ちた時にやったのか?」



私の足を掴んで靴下を脱がすと
目を見開いた。


その足は自分でも驚く位
腫れ上がっていて。



「どおりで痛いと思った…」

「お前本当バカだろ」



陽一は自分の服の一部を破ると、
ペットボトルの水を含ませ、
足にくくりつけてくれた。


「ま、大急処置だ。
大人しくしてろ」


「ありがとう…」




それからまた暫く沈黙が続いて

何気なくジャージのポケットに手をいれるとあの時買った小さな飴が入っているのに気がついた。