数日後

いつもの家庭教師の日。



いつものように走って帰ってきたユメは辺りを見回してふうーっとため息をついた。



「陽兄ちゃん今日はうちに居ないや。
お部屋に迎えに行っちゃぉ」



うっしっし、とユメは隣の陽一の部屋にこっそりと入ると、中に陽一がいる筈なのに電気もつけず、薄暗い部屋に違和感を感じた。

そして玄関に女物の靴があるのに気がついた。



陽一の部屋の前に着くと、中から聞いたことのない女の人の声が聞こえ、びっくりしてドアの前で立ち止まった。



「…っ…陽…一っ…」



ドアの隙間から見えたのはベッドの上で見知らぬ女性と熱いキスを交わす陽一の姿だった。







ユメが目を逸らせずにいると、
陽一がユメの存在に気が付いた。

その顔には全く驚いた様子もなくユメを見て笑みを浮かべた。



その陽一を見たユメはなんとも言えない恐怖を感じ、慌ててその場を立ち去った。








それからは一方的に陽一を避け、すれ違う内に陽一は高校を卒業し、そのまま引っ越しそれっきりになった。