「ユメ~お待たせ!
ごめんね遅くなって…!」

「里佳…
うん、いいよ教材もらったから帰ろう」



里佳が大急ぎで帰って来てくれた頃
ちょうど教室から出たところだった。


「少しでも話できた?
あんた達さっきも全く話してなかったでしょ?」


里佳も私の態度を不思議に感じてるのか私の顔を覗き込んで。


そんな姿にふ、と
さっきの事を思い浮かべる。


最後の軽いキスの後は何もなかったかのように陽一は私から離れたんだ。



「なんだお前らまだ居たのか。
教材、頼んだぞ」



話し声が聞こえたのか中にいた陽一がドアから顔を出して
私達の頭をくしゃくしゃと撫でると再び部屋に入っていった。




「うーん、このさり気なさ。
柊先生人気続くだろうね」




自分のクラスへの帰り道、里佳がまたマシンガントークを始めたけど

私にはいつものように聞く事は出来なかった。



陽一が何を考えているのか
全然わからない。


わからなくて
頭の中が陽一で一杯になる。