「ユメ!」


「きゃぁ!
あ、なんだ…将人…
ごめんね驚いちゃった。」


一人登校していた私の肩を叩いたのは将人で、つい不自然な悲鳴をあげてしまった。



「もう新学期か~
休みもすぐ終わっちゃったな」

「う、ん
そうだね……」


この間の事が後ろめたくて、
将人の笑顔をきちんと見れない。



「………この間ごめんな?

いつの間にか記憶がなくって気づいたら朝だったんだ。
あれから部活もあってしばらく会えなかったし本当にごめん」


「…ううん、
将人起こしても起きなくて私も先に帰っちゃってごめんね。
将人がサッカー頑張ってるの見るの好きだし気にしてないよっ」


私の態度が悪かったのか、将人が申し訳なさそうに頭を下げてきて
私の胸がまた痛んだ。

悪いのは私なのに。

将人の記憶がないという言葉に罪悪感を感じつつも少し安心して

そんな自分がまた嫌で。


でも、


「始業式だから体育館行こう」

「うん!」


差し伸べられた手を握り返して

大丈夫。

私は将人の事が好きなんだから。



そう、いい聞かせながら
体育館へ向かった。