「将人をいじめるな!」


陸橋の下に集まる人の中に棒を持った少女が駆け寄っていく。


「ユメ!」


集まっている少年達の中から、いじめの標的になっている少年が少女の名前を呼んだ。



『男女が来た!
ユメ!お前こんな弱っちい男と居ても楽しくないぞ』


「うるさい!向こういけ!」


近寄ってくるいじめの主犯の少年を振り払うと、少年達はブツブツ言いながら散り散りに去って行った。


「……さ、もう大丈夫だよ。帰ろ!」


そう言って優しく微笑み手を差し延べると将人は涙を拭って立ち上がった。



「ごめんね、僕がもう少し強かったら…
ユメに迷惑かけないのに」



「大丈夫。
将人は私が守ってあげるから!」



将人は性格もすっきりとやさしく凛としたひとつ年上のユメに小さな恋心を抱いていた。



「僕が大きくなったら今度は僕がユメを守るから」




「ありがとう!」



ユメはそう誓う将人の手を強く握り、嬉しそうに笑った。