会社の外へ出た私は、胸が熱くなって涙が出そうになった。
私に落ち度はない。
馬場友の方に問題があるのは間違いない。それなのに、私は謝らされた。
[件名:スミマセン
晩御飯、要りません。急に友達とゴハンに行くことになったので。ヨロシク!]
そのまま家に帰りたくなくて、私は駅前にあるファミレスに寄った。
お母さんが夕飯を用意してくれているのに悪いけど、寝る前に馬場友の顔なんか思い出しなくなかった。こういう時に必要なのは気分転換。
運ばれてきたばかりのコーヒーに口を付け、ホッと一息ついたとき、スマホが鳴った。
[そうですか。話たいことがあったんですけど。帰ってきたらね]
老眼が進んでメールを打つのが苦手な我が母の文章はいつも拙いのだった。
「久しぶり、佐原さん!」
懐かしい声がして私は顔を上げた。
「あ、すみません、突然メールしちゃって」
「オイオイ、大丈夫かよ?」
私の向かいに滑り込むようにして座ったのは羽田さん。
紺と緑のラガーシャツにGパン。
あれ?少し痩せたかな?
このファミレスに入ってすぐ、私は初めて羽田さんにメールをした。この怒りと悔しさを理解してもらえるのは、羽田さんしかいない。

