ビオラ、すずらん、年下の君

といっても、私服に青いユニフォームを重ねるだけなので、それを脱いでハンガーに掛け、デスクの1番下の引き出しに入れたバッグを取り出すだけで準備完了。


「お疲れさ…」


馬場友に声を掛けようとして私は、ギョッとした。
なんと馬場友は、発泡酒の缶を手にしていた。

いくら定時過ぎたからって…飲酒はやり過ぎでしょ!


「馬場友さん、そのいうのはちょっと…まずいですよ」


私は言葉を選びながら、やんわりと注意した。


「はあっ?」


馬場友は私を睨みつけた。


「お前、俺の部下なのにその生意気な態度なんなんだ?あまりにも失礼じゃねえか?下っ端のくせによお」


蛇みたいな目つきで正面から威嚇され、私は押し黙った。


「…」

「社会人として、ちゃんと謝罪しろよ」


馬場友は顎をしゃくった。

謝りたくなかった。でも、そうしないと意固地な馬場友は、ますますムキになるだろう。刺激して怒鳴られたりしてコワイ思いしたくないし。


「…すみませんでした」


私は下を向いて言った。

なんで謝らなくちゃいけないの。
こんな会社、マジで辞めたいと初めて思った。


「ま、これからは上司を立てろよな。家で頭冷やせ」


馬場友は、踏ん反り返っていい、しっしっと追い払う手真似をした。