ビオラ、すずらん、年下の君



「えっ?私の事、知ってるんですか?」


美人さん、なんて滅多に言われない言葉で褒めてもらった私の頬はついユルんでしまう。


「知ってますとも。小学生の時、お母さんと一緒にお買い物しに来てくれたでしょ?髪の毛を三つ編みのお下げにしてて、赤いカチューシャして」


「……あ、そうです!してました!」


それは多分小6の私。大人の階段登る前だ。本人ですら忘れていたことを、稲子おばあちゃんは覚えてるんだ、すごい!


「ちょっと待って」

よいしょ、と稲子おばあちゃんは立ち上がると、沖縄土産らしいノレンを除けて、家の中に入っていった。


「いやあ、今日は暑いなあ。今年1番かな。フィリピンの方では台風が発生したらしいが。それるといいがなあ」


私と2人だけで向き合う形となり、爺ちゃんは会話を途切れさすまいと饒舌になる。もお、孫相手にそんな気ィ使わなくていいってば!


「お待たせ。どうぞ」

稲子さんが戻ってきた。今度は、大ぶりのグラスになみなみと冷緑茶が注がれていた。


「ありがとうございます」


私はぺこりとお辞儀をした。

おじいちゃんが置いてあった朝顔のうちわで自分を仰ぐ。冷房効いてるのに。なんかコーフンしてる?