ビオラ、すずらん、年下の君



先に歩いていた袴田が急に立ち止まり、振り向いた。体操競技のリボンのように、ポニーテールがふわりと風に乗る。


「無理に誘って、ごめんね!ありがとう、付き合ってくれて」

無邪気な笑顔。


「吉田君、今日、塾無なかったの?」

「まあね、さすがにサボってまで来ないよ」


俺の得意技の捻くれコメントにも袴田はニコニコしている。


「さっすがー!受験生の鑑だね」


去年出来たばかりの巨大ショッピングモール。県内最大規模。
洋服屋、雑貨屋。店が多過ぎて1日かかっても回りきれない。


「わあ、すごくカワイイ!」

ハワイアングッズを売ってるワゴンの前で、袴田はくるりとターンをした。

レイを巻いたクマのぬいぐるみを指差したかと思えば、すぐに隣にあるキャンデーやチョコレートを満載したワゴンに目を移し「あ、美味しそう!」とはしゃいで言う。


2人きりで明るい街にいると、嫌でも袴田の良いところが目に入ってくる。

ちょっと見、少しギャル風の袴田が、真面目な子だっていうのは同級生だから知ってる。


(ひと月前に、コクって来た時も、校舎裏に呼び出され『あなたが好きです。私を彼女にしてもらえませんか?』って直球投げてきたし)