ビオラ、すずらん、年下の君



待ち合わせ場所のモール出入り口の前に、袴田はすでに到着していた。
あ?
隣に若い男がいて、喋ってる。


「あ〜っ、吉田君!」


俺を見つけると、腰の位置で両手を振った。
その仕草は犬が尻尾を振っているみたいで、ちょっと吹き出しそうになった…ラブラドールリトリバー系かな。


俺が現れると、若い男はズボンのポケットに手を入れたまま、無言で離れていった。


「友達?」

「まさか!…なんか、遊びに行かない?とか言われてたの」


ナンパか。お前、オタク系にウケそうだもんな。


「すげえ。モテるね」

つい、顔がニヤニヤしてしまう。


「えっ、こんなのモテるっていわないでしょ?イヤミだなあ!」


頬っぺたを少し赤くした袴田がムキになって俺の腕をパシンと叩く。


「さ、行こ!」

踊りに誘い出すみたいに袴田は俺の腕を軽く引いた。


さっきのナンパ男は、こいつの脚を見て声を掛けてきたんだろな。
いつもと同じ白いソックスは清純そうだけど、その倍以上ある肌色の部分は、見ようによっちゃ相当エロい。


(なるべく見ないようにしてるけど、なぜか視界の片隅に入ってくるんだよな)


「そうだ!吉田君」