ビオラ、すずらん、年下の君



カバンを肩に掛け、早足で歩く袴田の背中を見送る。

チェックの膝上スカートの裾から伸びている脚は、白のソックスに包まれていて、長くてキレイだ。それを見ていると誘惑されているような気持ちになる。


約束しなきゃ良かったな…


少し途方にくれてる自分に気が付いた。



あっという間に金曜日。
待ち合わせは、5コ駅先のショッピングモールの中にあるシネコン。

現地集合。
HRが終わると、袴田は脱兎のごとく教室を出て行った。

待ち合わせ時間までには充分余裕あるのに。

噂とかになると面倒だから、別々に行くことになっていた。


ふと、窓際の方から視線を感じた。その方に目をやると中田あずみがこっちを見ていた。袴田の親友。

これからあいつと俺が逢う事を知っていて、おせっかいにも心配してるんだろ。
こいつらの絆は深そうだ。


(お前な、ヒトの心配するより自分の心配しろよ?)


俺は軽く中田あずみを睨んで、教室をあとにした。

内緒にするほどのことでもないけど、沢村には何も告げなかった。

アレコレと説明するのが面倒だし『OLはどうするんだ?』とか(OLって単語を殊更強調して)余計なこと言いそうだし。

事後報告ということでいいだろう。