「ねえよ、俺はハタチ以下には全く興味ねえし」


羽田さんも、どら焼きをもぐもぐしながら答えた。
皮しっとり甘さ控え目の老舗【和せん】のどら焼きは本当に美味しい。
お昼、いつものお蕎麦屋さんに食べにいった羽田さんがお土産に買ってきてくれたもの。

羽田さんは、電話番の為にお昼は外に出れない私の為に、しょっちゅうケーキや和菓子を買ってきてくれる。
おかげで私はここ最近で2キロも体重が増えた。


「…羽田さんのは下心があるとかそういうやましい感情でしょ?私は違うの。ファンとかそういう感じかな?
それでね、羽田さん。
もうすぐ聡太君の誕生日なんです。学生証見せてもらった時にチェックしたんですけど。それで相談なんです」


「あ?なに」


羽田さんがペットボトルのお茶をくっと飲んだ。
なんか面白くなさそうに片方眉毛が歪んでる。


「高校生の男の子って、どんな物をあげたら、喜ぶんでしょうか?」


身を乗り出して訊く私に、羽田さんは冷たい目をする。


「知らねえよ」


「羽田さんだって高校生だった時代があったでしょ?彼女とかから貰って嬉しかったものってなんですか?」