「で、どんな話なの?」
タオルで濡れた手を拭きながら、洗い終えた洗濯物の入ったカゴを手にした母に訊く。
母が眉を歪め、気の毒そうに言った。
「聡太君ね、お姉ちゃんがいたんだって」
「え、聡太君てひとりっ子じゃないの?姉弟がいるなんて聞いたことないけど」
私は目を丸くした。
「うん、お婆ちゃんが話してくれたんだけど、聡太君には、お姉ちゃんがいたんだって」
「いたって…」
過去形なのは、もしかして?嫌な予感がした。そして、やっぱり。
「6年前に亡くなったんですって。生まれつき心臓が悪くて、小さな頃からずっと入院生活だったとか。聡太君とは年が離れているけど、すごく仲の良い姉弟だったって」
「へえ…」
私の胸の奥で何かがコトリと音を立てた。
「年が離れてるって、どのくらい?」
「8歳って言ってたかしら?ちょうど和香子と同じくらいみたいよ。聡太君は、お姉さんのこと人には決して話さないんですって。こういう哀しみは何年経っても癒えないものだからね…」
そこまで言うと母は私との会話を中断して、洗濯を干しに庭に向かった。
私と同い年……
6年前だと聡太君は12歳。

