ビオラ、すずらん、年下の君

「そっかあ。私も近いうちお見舞い行こうかなあ」


食べ終えた食器やカップを持って私は立ち上がった。自室に戻って早くやりたいことがあった。

羽田さんとの温泉旅行の計画が、いよいよ実現しそう。昨夜のメールのやり取りで今月末に少し早めの紅葉狩りに行こうって話になったから。


でも、私、実は迷ってる。

聡太君のことが気になって積極的になれない。煮え切らない私に羽田さんが少しイラついているのが分かる。良さげな宿をいくつかピックアップするよ、と少し強引な感じだった。

一応、佐原さん好みの宿も探しておいて、と言われていた。


とりあえず、今日の予定はパソコンで宿情報を検索しようかな…
行くなら、箱根か伊豆辺りがいいかも?


水の音と陶器の触れ合うカチャカチャした音を立てて食器を洗っていると。


「そうそう!和香子、お母さん、びっくりする話、お婆ちゃんから聴いちゃったのよ」


洗濯物を干しに庭に行ったと思っていた母がキッチンに立つ私を振り向かせた。


「なあに?」


返事をしながら、面倒臭いな、と思った。母は大したことない話でもオーバーに言う癖があるから、また?と思った。