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花音は神無月に引っ張られるがままに駅まで走り、シェアハウスに帰るため電車に乗った。

繋いだままの手は、2人とも汗ばんでいた。

でも、花音が離そうとしなかった。

少し震えているようにも思え、神無月もその手を離さなかった。

「なんで、電話に出なかった。」

神無月は1番の疑問点を聞いた。

「電話…してくれたんですか。すいません、父に電話回線を切られて…スマートフォンも没収されました。」

そのとき初めて花音は自分がスマートフォンを持っていないということに気がついた。

それに気づいた神無月が横からそっと

「スマホくらい買いに行けばいい。」

と言った。

次は花音が質問した。

「なんで迎えに来てくれんですか?」

「普通に心配だったからだよ…面倒かけさせやがって。」

「門番とかいませんでした?よく突破できましたね。」

「いたよ。でも、これ使った。」

神無月はポケットからスプレーボトルを取り出した。

透明なボトルの中には真っ赤な液体。

「何ですか?これ」

「タバスコだよ。タバスコを100匀のボトルに詰めただけ。目にかけると効果てきめんだ。」

「目にかけたんですか!?」

「大丈夫だよ。これ辛味の弱いやつだから。それにしても、お前の家、女しか雇わないんだな。男だったら殴れたんだけど、女には手出せないから大変だったよ。」

「父がそう決めたんです。あの家では父が絶対ですから。」

そう言うと花音の顔から急に笑顔がなくなった。

「どうした?」

「私…何も出来なかった。1回言って、その後なんかよく分かんなくなって…自分の存在する意味とか…自分がここにいて良いのかとか…頭がこんがらがって…」

花音の目から涙がこぼれていた。

それに気づいた神無月は花音をそっと抱きしめた。

何も言わず。

でも、その温かさが花音には嬉しかった。