そんなときだった。

ノックもせずに望田が部屋に入ってきた。

そんな望田は状況をすぐに察し

「あっ!ごめんね!ご飯できたから…テーブルの上に置いておくから、いつでも食べてね。」

と言ってドアを閉めた。

パタンという音がただ1人で駆け抜ける。

すでに今原は泣き止んでいたが、なぜか私たちは手を握り、動こうとはしなかった。

そんな今原に聞きたいことがあった。

「今は…?」

「えっ…」

「今は…お母さんのことはどう思ってんの?」

私がそう言ったとき、手がギュッと強く握られた。

「…愛してる…」

口に出すことが罪と感じているような…

そんな雰囲気が今原からした。

そしてこう言った。

「俺はきっと母親を嫌いになることは出来ないんだ。」