Share Heart

それには2つの理由があった。

まずは楽なほう。

「入れたってどういうこと?あれって抽選じゃないの?」

入れたって言い方に何か引っかかった。

まるで私が何かの基準をクリアしたみたいな言い方…

「お前…知らないのか…?」

「えっ?何のことよ?」

「シェアハウスに入れる人は家がないやつとか家出する理由がちゃんとあるやつじゃないと入れないんだぞ?」

そうなんだ…

私はそんなこと全く知らなかった。

でも、別に悪い気はしなかった。

それはもちろん家を出たかったから。

そんな思いが評価されたと思うと、むしろ嬉しい気もした。

「そうなんだ…」

私がそう言ったところで、木野たちと別れる交差点に着いた。

「じゃあね!また明日!」

木野が可愛く右手をヒラヒラと振る。

私もつられて振る。

こんなささやかなことでも、友だちなんだなって思えた。

2人が完全に見えなくなって、私はこう言った。

「昴には…話すよ、理由。でも、家に帰ってから。」

さっきと同じように、2人の温かなシェアハウスを目指した。