先輩の歩き方は何か変だ。
何か歩きづらそう。
どうしたんだろう。

ただ、路上を歩いていると
先輩は常に道路側を
歩いてくれている。
私は先輩の服を引っ張り
場所を交代した。
私が道路側を歩く。

「何やってんだよ」

先輩が言う。

「私といると先輩は常に
危険にさらされますから。」

私が言う。
先輩が死ぬくらいなら
私が死んだ方がいい。

「ん、いーよ」

先輩が言った。

「ちょ、ちょっと先輩っ」

先輩が私を引っ張って
また先輩が道路側を歩く。

「俺はお前に生きて欲しい」

先輩が言う。
前を向いている横顔。
その顔はやはり
学校で1番イケメン。
本当に整った顔をしている。

「ん、何?」

先輩がこっちを見て言った。
少し見すぎていたようだ。
私は目をそらして

「何でもないです。」

と言った。

先輩は相変わらず
歩きづらそうだ。

「先輩、足痛いんですか?」

私が言うと先輩は

「ん?いや、痛くねぇよ?
何で?」

と聞いてきた。
「いや、別に」と言い
話を流した。

そうして歩いているうちに
映画館に着いた。

予約するより上映してる
ものを見るのが良いらしく
上映してるものを見た。
しかし今、上映してるのは
全部ラブストーリーっぽい
ものであった。
3つのポスターが並んでいる
個人的には1番左のが…

「ん、じゃあ、これでいい?」

先輩はそう言って
1番左のを指差した。

「いいですよ」

おぉ、1番見たかったやつ。
先輩は珍しく私の方を向いて
笑顔になった。
そして

「映画館といえばポップコーン♪
ポップコーンといえば映画館♪」

と変なリズムで言った。
先輩は普通の大きさの
ポップコーンを頼んだ。
うん、よく見る
両手で持たないと
持てないような大きさの
ポップコーンは
面白いけど恥ずかしいし
食べれる気がしない。
私もそれでよかった。

そして薄暗い映画館に入った。