ジリリリリリリリリリリリリ
ガチャン

目覚まし時計勢いよく止めた。
時刻は午前3時。
一睡も出来てない。

私は家族が寝静まっている中
キッチンでお弁当を作り始めた。
作るのは
卵焼き、トマトとかレタス、
……アスパラベーコン。

蓮司先輩は小食らしい。
あまり食べないなら
無理に多く入れる
必要は無いだろう。
それに簡単だし!
卵焼き→巻きながら焼くだけ
トマトとかレタス→洗うだけ
アスパラベーコン→巻いて焼くだけ

私はインターネットで調べながら
全部仕上げた。
見た目も悪くないし、
味見してみたが、美味しい。

時刻は午前4時。
自分の部屋に戻った。
やはり眠い。
実は私が早起きしたのは
お弁当を作るためではない。
私はしたことがないが、
世間の女の子は
みんなしているもの…

化粧だ…。

やったことないし
やりたくもなかった。
それに必要なかった。
私に化粧をする時が来ると
思わなかった。

…………どうすればいいんだ。

ガチャ
どこかのドアが開いた。
階段を下りていく
誰だろう。

私は何もできずに固まっていた。
さっき下に降りた人が
今度は上がってきた。

ガチャ

私の部屋に入ってきた!?
誰だ?
振り向くと姉さんだった。

「ちょ、姉さん!?」

私はびっくりして
つい、〝姉さん〟と
読んでしまった。
いつもは夢波さんと呼んでいる。

「美穂ちゃ〜ん」

姉さんは満面の笑顔だった。

「やっと美穂ちゃんに
お姉さんと呼ばれたぁ〜」

私は下を向いた。
姉さんは呼ばれたかった
かもしれないけど私は
呼びたくはなかった。
そう呼ぶことでどこか
兄や本当の家族を
忘れてしまうようで…。

「ん〜?んん?おぉ、
美穂ちゃん化粧するの〜?」

姉さんは少し笑いながら言った。

「でも、やったことないでしょ〜?
やってあげようかぁ?」

姉さんが近づいてきた。

「お、お願いします。」

そう言って私は頼むことにした。
まぁ、自分では出来ないからな。