今日も朝から陰口が聞こえる。
昨日、佐原 蓮司に連れて
行かれたせいで、
クラスの女子にまた嫌われた。
まぁ、慣れていることだが、
いつもと違う陰口を言われている。


「あいつ佐原先輩の何なわけ?」

「何であいつなの?ほんとムカつく」

というような事で、
あいつのせいで嫌われているようだ。

昼休みが来た。
今日は弁当が無事だったので、
教室で、静かに食べる。
弁当食べ終えて、ぼーっとしていると
また廊下がうるさくなってきた。
まさか…

やはり佐原蓮司であった。
そしてこちらに来て言った。

「な、何でこねぇのっ!?」

……は?
誰も行くとは言ってないだろう…。
しかも行かないって言っただろ。
そんな事を思いながら、

「別に行くとは言ってないでしょう。
ていうか断ったでしょう。」

そう言うと、佐原 蓮司は、
涙目になりながら、
また屋上に連れて行かれた。
屋上に着いた時にはもう泣いていた。

「せっ、先輩の言うこと聞けよ!」

少し怒り気味(泣いているが)
でそう言った。

_____自分より泣き虫で臆病な人を
先輩とは思えないだろ…_____

「え?」

しまった…口に出してしまった。
佐原 蓮司の顔を見ると
さらに泣いていた。
さすがに今のは酷いか。

「すみません」

謝ると佐原 蓮司は
さらに驚いた顔をした。
何だというのだ。

「お、お前って謝るんだな…」

本当に驚いているようだ。
悪いことをしたら謝るのは当然だろう。
そんなことを思っていると
佐原 蓮司は再び口を開いた

「と、とにかく、今度からは昼休み
屋上に来いよっ、先輩からの命令だ!」

少しムカついた。
少し怖がらせてみるか。

「ボコりますよ?」

私が言った瞬間に

「ひぃぃぃっ」

叫びながらガタガタと震えている。
そして私は

「嘘です」

と言って踵を返し、教室に向かった。
その前にトイレにこもって少し泣いた。
昼休みに屋上に来いと言われた。
いじめられている私に
悪口を言うでもなく、
暴力を振るうでもなく、
ただ昼休みに屋上に
来るようにと誘われた。
その事が嬉しかった。

その日は不良を痛めつけずに、
まっすぐ家に帰った。