「幸せって何…」

私はうずくまって呟いた。
分からない。
でも、答えは出るじゃないか。
分からないことは聞けばいい。
何で先輩が私を避けているのか。

私は立ち上がって部屋を出た。
上着を着て玄関を出る。
外は少し冷たい風が吹いている。
走ろう。

冷たい空気が喉を通って
肺に入り込む。
胸元が痛い。
横腹が痛い。

蓮司先輩の住んでいる
マンションの三階についた。
……………………………
………待て待て待て待て
これ、キモくない…?
ストーカーだよね…
え、どうしよう、
今更、蓮司先輩に会わす顔無い…
帰ろう…。
私が帰ろうとしたその瞬間。

ドゴンッ

後ろのドアが勢いよく開いた。

「うおっ…………!?」

出てきたのは蓮司先輩だった。
目があって3秒くらいした時。
蓮司先輩はスゥゥゥーっと
ドアをゆっくり閉めようとした。
このままではホントにストーカーに
なってしまうっ…
とっさに手を伸ばすと
手を挟んでしまった。

「いっつ…」

声が出た。

「ぬあっごめんっ」

先輩はすぐにドアを開いた。
私は目が合うのが怖くて下を向いた。
でも、下を向くのも嫌で先輩を
睨んでしまった。

先輩はビクッとなって
私の手を引いて
マンションの階段を降りた。
そのまま近くの公園まで来て
ベンチに座った。
先輩は右に座る。
ちょっと寒い。

「ん」

先輩が手を出した。
手にはココアがあった。
私は先輩の手からココアを
受け取った。
温かいな。
先輩はコーヒーを持っている。
私がコーヒー飲めないの
知ってたのかな。
偶然だよね。