「おはよー」
「おはー」

今日もまた下らない1日が始まった。
いつものように教室の
廊下側の席にすわっていると、
陰口が聞こえる。
そして昼休み、弁当の中に
ゴミが入れてあった…
全く、つまらない事を
する人もいるものだ。
仕方が無いので売店で
何か買って食べよう。
売店に行くとそこには
女子が集まっていた。
その中にいるのは……
どこかで見たあることのある顔の
男前な男子だった。
まぁ、知らないけど、
とりあえずお腹が空いたから、
早く食べよう。
人混みをかき分けて
パンとジュースを買った。
すると、

「あぁーーーっ!?」

誰かが叫んだ。
うるさいな、後ろを振り返ると
さっきの男子が顔を歪めて、
こちらを見ている

「き、昨日の……」

昨日…?
その時思い出した
この男が誰なのかを…
昨日、不良共を痛めつけた後、
後ろにいた男だ。
しかしこれはまずい。
もしこの男がその事を言うと、
さらに私は差別される、
そして問題になってしまう。
男はこちらを見て怯えている。
そして口を開こうとした瞬間…

「黙れっ!!」

私はそう叫んだ瞬間、
男の腕を掴み外に走った。
昼休みで中庭は賑やかだ。
教室に戻るわけにもいかない。
なので向かった先は体育館の裏だ。
そこに連れて行くと男は泣いていた…
なぜ泣くのだ…
男前な顔が台無しになっている。
男は泣きながら言った

「頼むからボコボコにしないでくれ…
粉々にしないでくれっ…」

なるほど、昨日の私を見ていたから
私にボコボコにされると
思っているのか。
なら、口止めしておこうか。

「もし、昨日の事を誰かに言ったら
お前をボコボコにする。」

私が言うと男は

「わ、わかった、
誰にも言わないから助けて…」

かなり怯えられている。
しかしこの男は本当に臆病だな…
一応名前だけでも聞いておこう。
胸のバッチからして2年だろう。

「名前は?」

聞くと、男はビクッとなって、
口を開いた。
聞いてみるとその男は
2年B組の佐原 蓮司だと言う。
佐原蓮司といえば、
私のクラスでも有名で
この学校のイケメンだと
聞いたことがある。

確かにイケメンだな。
昼休みももう少しで終わるから、
お互い帰ることにした。
男はめちゃくちゃ走って
行ってしまった。

そして私も教室に戻った。
同じクラスの岡野 莉奈子が
私の席に落書きをしていた。

「莉奈子〜やめときなって〜」

「キャハハ」

いつものことだ。
私は落書きを見て下らないと思った。
すると、

「わっ蓮司先輩!!」
「キャー!!」

誰かが来てうるさくなった。
廊下を見ると
昼間の男、佐原 蓮司がいた。
そして冷や汗を流しながら
私に話しかけてきた

「コンニチハ」

なぜそんなに緊張しているのか
分からないが話しかけられたので、
私も返した。

「何ですか?」

口を開いた瞬間、ビクッとなっている。
そして佐原 蓮司さらに言った。

「チョットキテ」

ビビりすぎだろ…
まぁ、一応先輩だから、
行くことにした。
向かった先は屋上だった。
屋上に着くまでに
周りにいた女子共を
振り払うのに苦労した。
屋上には青い空が広がっていて、
少し冷たい風も吹いていた。
ビクビクした様子の佐原 蓮司に聞いた。

「何か用ですか?」

その一言だけでビクッとなっている。
そして佐原 蓮司が口を開く。

「お、お前…いじめられてんの?」

目をそらしながら聞いてきた。

「そうですが、何か?」

別にいじめられることは
恥ずかしいことじゃ無い。
私にとってはいじめる方が
恥ずかしいことだと思うから。

「な、何で昨日みたいに
ボコボコにしないの?」

「そんなの決まっているでしょう。
もし、そんな事をしたらいじめは
もっと酷くなる。
問題にもなるし、面倒ごとは
避けたいからです。」

そう言って私は踵を返した。すると、

「も、もしっ…良かったら…
明日の昼休みに俺、
ここにいるからなっ…」

相変わらずビクビクしながら
言ってきた。
いたとして私にどうしろというのだ。

「私はいつも通り教室にいますよ」

そう言って屋上を出た。
まぁ、誰もこない屋上に
行く人なんていないだろう。