私が岡野をかばっても海原は
構わず刺しかかってくる。

ドガッ

鈍い音とともに海原が
後ろに飛ばされた。
私の前に立っていたのは、
担任の菅原先生だった。

「下に机、ぶちまけてる
と思ったら、上では殺し合いか?」

先生は元ヤンでかなり強い。
私でも勝てないだろう。
海原が立ち上がった。

「センセー邪魔だ。どけ」

海原はナイフを持って言う。
先生は答えず立っている。

海原がナイフを振りかぶって
先生に斬りかかる。

ドッッ

その一瞬で海原は気絶して倒れていた。

「みんなここ片付けといて〜
あと机とかも直しとけよ〜
面倒ごとはごめんだぜぇ〜」

と言って先生は海原を担いで
教室から出て行った。


そのあと教室では岡野が
クラスのみんなに謝って
クラスのみんなも岡野に謝っていた。

教室の片付けをして
自習をしていると、
今日はもう家に帰りなさい
という放送が流れ、
家に帰った。

家に帰って課題を終わらせて
本を読んでいると、

「美穂ちゃん!ちょっと
降りてきてテレビ見て!」

とお母さんが言った。
下に降りてテレビを見ると、
菅原先生が逮捕されていた。
テロップを見ると


〝カッターナイフを
持っていた生徒を暴行〟

《俺の話を聞かずに
カッターナイフで遊んでいたから
腹が立ったった》


などと書かれている。
おかしい…どういうことだ。
私は急いで岡野に電話してみた。

『もしもーし、美穂ちん?
テレビ見た?ヤバくね!?』

岡野も見ているようだ。

「見てるけど、どうして
菅原先生が悪いみたいになってるの?」

私が聞くと

『あー、あれね、菅原が海原を
庇ったらしーよ。海原は
これからがあるからってさ。』

岡野は少し寂しそうだった。
菅原先生は学校でも人気だ。
いつもやる気が無くて
教えるのも下手だが
授業は楽しいし、学校行事などは
本当に頑張って楽しませてくれる
先生だからだ。

その先生がいなくなるのだから
誰でも寂しさは感じるだろう。

先生がいなくなるのは本当に
悲しいことだが、今回は
岡野が生きていた事が
私は何より嬉しかった。