今日も朝、玄関を出ると
蓮司先輩がいる。
先輩はいつものように
手を上げて「よっ」
と言う。
私も挨拶して、歩き出す
横に先輩がいる。
夢みたいだ。

学校に着くと、岡野が
話しかけてきた。

「美穂ちん、いぃなぁ〜」

岡野は口お尖らせて言う。
他のクラスの女子からは
陰口が聞こえる。

岡野がトイレに行った。
すると他のクラスメイト
2人が私の前に来た。

「あんた、佐原先輩の
何なの?マジムカつくんだけど」

「何?莉奈子の弱みでも
握ってんの?」

2人が言った。
おそらく岡野が私と
一緒にいるのが
気にくわないのだろう。

「別に、そんな事はないです。」

私が言うと2人も反発
してきた。

「んなわけないだろっ」

1人が手を振りかぶって
殴りかかってきた。
だが、余裕で避けれるし、
多分痛くない。

ガッ

振りかぶった手を誰かが止めた。
蓮司先輩だ。

「昨日の夜からこいつ
俺の彼女だがら
こいつに触れんなよ」

蓮司先輩が言った。
……恥ずかしいな。

「「「はぁ〜〜!?」」」

クラス全員が口を開けて
叫んでいた。

蓮司先輩はそのまま
教室に帰って行った。

それから昼休みまで
陰口は止まなかった。
こうなったのもやはり
蓮司先輩のせいだ。

昼休み、岡野と2人で
屋上に上がると、
先輩はいなかった。
体育館の影に先輩と女子が
いるのが分かった。
また告白か…

「たぶん、アレだよ、
美穂ちんが佐原先輩の
彼女だがら勝てるとか
思って告白してんだよ。」

岡野が言った。
確かにそうだ。
こんな私より可愛い
女子なんか沢山いるだろう。

先輩もいつか私より
綺麗で可愛くて性格のいい
女性と付き合って結婚して、
私のことなんか
忘れてしまうのかな。

「美穂ちーん、何で顔してんの?」

岡野が言って気づく。
ダメだな私。

「見に行こーよ!先輩んとこ!」

岡野が私の手を引いて
階段を駆け下りる。
体育館の影が見える、
ところに来た。
少しだけ声が聞こえる。

女子「蓮司くん、私
蓮司くんが好きなの。
彼女がいるのかもしれないけど
私、あの子より頑張るからっ」

何なんだ…あいつ、
私の何を知ってるんだ。
何も知らないのに
私よりとか言わないでよ。

蓮司先輩「んー、ごめん。
他の女のために今の女と
別れるようなやつとあんたも
付き合いたく無いでしょ?」

女子「で、でもっ、私、
それでもいい。どんな事をしても
蓮司くんと付き合いたいからっ」

蓮司先輩「じゃあ、断言する。
俺はどんな事をされても
あんたとは付き合わない。」

女子「何でっ?あの子のこと
好きなの?」

蓮司先輩「好きじゃなきゃ
付き合わねぇよ。」

先輩は少し顔を赤くして言った。
胸が苦しい。

「美穂ちん、良かったんじゃぁん
ちゃんと愛されてんじゃぁん」

岡野がニヤニヤして言う。

嬉しい。

その感情を気づかせてくれたのは
やっぱり岡野だ。
ありがとう。_____