私の声が届いた。
蓮司先輩は
こちらを向いて
驚いた顔をしている。

やっぱり私の兄なのかな。

「ハハッ、何でだよ!
俺お前と苗字違うしっ!
そんなわけねーだろ」

笑っていた…。
やっぱりただの
思い違いなのかな。

でも、忘れられないあの笑顔は
兄のものだと思った。
根拠は無い。でも自信はある。

「先輩、あの事
まだ私に言えませんか?」

先輩はうつむいたて言った

「あまり、人の事に
踏み込むなよ。」

突き放された
そんな気がした。

私はその後何も聞かず
家に帰った。

先輩は近くのお店に
用があるらしく
私だけとぼとぼと
歩いた。



次の日。
私は先輩に昨日の事を謝った
先輩は俺も悪かった
と言っていた。

昼休み、岡野と一緒に
屋上に行った。
しかし蓮司先輩は来ない。
岡野は

「何で来ないんだろ」

そうつぶやいて
弁当を食べる。


昼休みが終わったが、
結局、蓮司先輩は
来なかった。

「もう帰ろっ」

岡野はそう言って
私を引っ張って
教室に戻る。

教室ではいつも
岡野が話しかけてくれる。
その代わりに
岡野まで陰口を言われている
それでも岡野は
話しかけてくれる
本当に良いやつだ。

放課後、蓮司先輩が
心配だったから、
先輩のクラスの2年B組
に行っていない
理由を聞いてみた。

「あー、蓮司くんなら
今日は風邪で休みだよ。」

クラスの女子が言った。
前に先輩が風邪を
引いたのを見た事があるが
凄くぐったりしていた。

心配だから、
お見舞いに行こう。
適当にプリントを貰って
届けることにした。

家を聞いてみたが、
秘密らしい。
言ってしまうと女子が
家に来て困るからだと。

私はスーパーでフルーツなど
美味しいものを買って
裏路地を走った。

裏路地ではすでに
私は怖がられていて、
誰ひとり喧嘩を
売ってこない。

路地裏を抜け先輩が
帰る方向を考えたが
全くわからない。

そうだいい手があるじゃないか
不良に近づいて言った。

「佐原 蓮司って人の
家知らない?」

私が聞くと不良は
ビクビクしながら

「し、調べてみますっ」

と言って他の不良どもに
聞いていた。
すると、1人が知っていて
ここから少しの所にある
マンションのようだ。

私は少し歩いて
目的地である蓮司先輩の
住んでいる
マンションの前に来た。

男子の家に入るのは初めてだ。

____そして初めてのお見舞いだ。___