この前のことがあってから、
岡野は昼ごはんを
食べに来なくなった。
でも、移動教室の時も
一緒に動いてくれるし
仲良くなれたと思う。
本人に聞くと、
蓮司先輩の事は
まだ好きらしい。

一方、蓮司先輩は
あれ以来元気がない。
あの時私は〝聞かない〟
と約束したので、
無理に聞こうとは思わない。



今日も学校だ。
教室に入ると女子が
喧嘩をしていた。
岡野が座っている席を
3人が囲んでいる。

原因は私のようで
私が岡野と
仲良くしているから
腹を、立てた女子が
岡野と喧嘩をしているらしい。

前にもこんなことは
たくさんあった。
でも、こんな時でも、
私と仲良くしていた人は
すぐに私から離れていく。

分かっているんだ。
岡野と分かり合えたのは
ほんの一瞬だったのだ
いや、本当は
分かり合えてなかった
のかもしれない。

「何でこんなのといるわけ?」

「何?今更同情したの?」

いつも岡野と仲良くしていた
人たちが、岡野に
強い口調で言う
すると、岡野が立ち上がり

「あたしさぁ、少なくとも
あんたといる時より、
美穂ちんといる時の方が
楽しいから」

私は驚いた。
分かり合えたのは
一瞬ではなかったのか。
今まで私と一緒にいて
楽しいという人は
居なかった。
生まれて初めて、
私に友達が出来た。
嬉しかった。

「何それ、うざ」

「バッカじゃないの?」

岡野に悪口が言われた。
だが、岡野は清々しい
顔をしている。

「ありがとう」
口では言えなかったが
____心でそう叫んだ。_____