目を開けて初めて目尻にある


水滴に気づいた。


「星音ちゃん?」


その声にハッとして前を向いた。


「やっぱり、星音ちゃんだ」


そう言ってこっちに向かってきた。


急いで目元を手で拭い、立ち上がった。


『く、空海先輩...』


空海 昇(クウカイ ノボル)先輩。


同じバイト先の先輩だ。


細身で背が高く、黒髪の短髪。


切れ長の瞳。


一見怖そうに見えるけど、


とっても優しい先輩。


4つ年上の大学3年生。


そして、私の...


"好きな人"


「こんな時間に一人じゃ危ないよ?」


そう言われて時計を見ると


もうすぐで22時を指していた。


『へっ、あ、もう帰ります』


そう言い頭を下げて帰ろうとした。


けれど