『………………』
これが夢なら夢と言って欲しい。これが夢じゃないのなら醒めているよ、と言って欲しい。
本当に夢を見ているようだった。
いつの間にか寝ていた体を少しだけ浮かして、目の前の光景をもう一度確かめてみる。
泣いているのか、
泣きそうなのか、
それは判断しにくかった。
だけど泣いているんだと思う。
今、頬がきらりと光ったから。
鷹巳はきっとプライドが高いだろうな…と咄嗟に思った。
きっとこの姿をあたしに見られたくはないだろう。
寝たふりをして、見なかったことにするのがいいと思って、浮かせた体を落とし目をきつく瞑る。
『…忘れねぇから。この朝日は、覚えとくから』
独り言…にはとても聞こえなかった。あたしが起きていることに気付いてるんだろう。
誓いのような、言葉だった。
『……うん。忘れないで』
あたしは何故かそういっいて、鷹巳の上にそっと手を重ねた。