鷹巳はねっころがって眠そうにしていたから、暇なあたしは一人で綺麗な貝探しをしていた。

海の押し返す音だけが響いているここは、自然と心地良かった。


無意味なことを考えるだとか、そんなこと一切せずに真っさらでいられる。



『今日はここで朝日を拝もう』


急に聞こえた声に驚いて少しだけ肩が揺れた。ゆっくり声のする方を振り返る。


『朝日が、見たい』

断片的に切ってしっかりと落とすように口にした。

そんな鷹巳はさっきと変わらずねっころがったままだ。



『……うん』

やっと、海へ来た理由を聞けたような気がした。

そして、なんで夜に呼び出されたのかも。


嬉しいような、淋しいような、複雑な気持ちが心の中を渦巻いていたから、あたしはこの時期には冷たい海に手をつけてみた。…やっぱり冷たかった。