「なんであんたに教えなくちゃいけないわけ?」
驚いた顔をしてから、男は女にこんなことを言われて、プライドが傷ついたらしい。顔を歪めていた。
女がみんながホイホイついてくと思うなよ。
「ちょ…優っ!」
「…いいじゃん、別に」
本当のことだし。
ムカつくし。
いい気味だと思った。
まだ悔しそうにしてる奴の顔を冷めた顔で、拝んでやろうか。
そう思って顔を上げた。
真っすぐ、視線が重なった。
今まで気付かなかった。
どうしてだろう?
こんなにも
興味なさそうに
くだらなそうに
こっちを見て、煙草を蒸している奴に。
世界の全てが
つまらなそうにしている奴に、
さっきまで……
気付かなかったなんて。