『どうしたの?』


その時そうやって聞ければよかったのかもしれないね。



でもあたしは聞けなかった。


サラサラと砂のように
崩れ去っていって……


いとも簡単に
この手を離される――



それが堪らなく恐かったから
それがすぐに来てしまいそうで。



あたしは臆病者だった…



どんなことをしても
繋ぎ留めておきたい
絶対離したくないもの


見つけてしまったから――



鷹巳…
あなたに出会って―――…



こんなに近くにいるはずなのに。


さっき触れた唇の熱が、
だんだんと冷たくなっていくよ。