『だんだんいろんな感覚麻痺してきてさ。何が悪いことなのかも、よくわかんなくなっちまってたし、やめたいと思う気持ちもどっか消えてた…』
懺悔をするように、鷹巳は一個ずつ噛み締めながら話していく。
辛かっただろう。
でもその痛みはわからない。
苦しかったろう。
でもそのもがき苦しんだ気持ちはわからない。
それが歯痒くて、仕方ない。
あたしは何も出来ない――…
『――けど。お前に会った』
地底の底から、引っ張られたみたいだった。
くっついていた体を引き離し、鷹巳はあたしの肩を掴んだまま真っ正直に置き、真っ直ぐ見つめてくる。
驚きで、今まで黙ってたのに『え?』って聞き返してしまった。
『お前が居たから、思えたんだ。“やめたい”って。
捕まるのが決まったとき、俺は自分から俺が総長やめて捕まるて言った』
こんな自分が嫌になって、今までやってきたことも後悔した。
ちゃんとした人生を生きたいと思った。
大切にしたいと、ずっと側にいたいと思える奴が出来たから。