付き合っていた時も、鷹巳はあまり、自分のことを話したがらなかった。

ごまかしてフッと笑う顔は、いつも淋しげだったから…あたしも聞こうとはしなかった。





でも、今は、自ら話そうとしてくれている。


あたしはじっと抱きしめられたまま、黙って聞いていた。




『…本当はやりたくて、頭やってたわけじゃねぇんだ。そこに入っていられさえすればよかったんだ。そこが……、唯一の居場所だったから』



強くなりたかったわけでもない。
ただ別に生きているなら、なんだってよかった。

…それでも居場所がない俺の、唯一の居場所だったから。


『特に問題ありまくりのチームに入っちまったんだ…。喧嘩とか、入ってるってだけで売られたりしたからな。別に強くなりたいとは思わなかったけど、強くならなきゃいけなかった。

……そして気付いたら、頭なんかになってた』



統率心もない。
信頼だってない。
護ろうとも思えない。

そんな奴を。

前の総長が選んだ……。
他にいくらだっていたのに。




―――最後の言葉は、そのときを思い出して噛み締めるように、切なく響いた。