唯一愛した君へ





『…す、すいませんでしたっっ!! 梶貴さんの女だとは知らなくて……っ…!』


ナンパ野郎は可哀相なほど、青白い顔をして慌てていた。



『軽々しく女っていうんじゃねぇ!さっさと消えろっ!!』


その人が声を少しだけ荒げると、本当に迫力があった。



『は、はいっ!!』


男達は、間抜けな程に慌てて足を縺らせながら、急いで走って逃げて行く。


もう見えなくなった。

はあ…


梶貴と呼ばれたその人は、しゃがむあたしに合わせて、背を低くした。



『おーい。 大丈夫か?』



何事もなかったような口調と表情。

あたしはまだ、動揺が収まり切らない。

今更また、震えて来ていた。