シンはあたしの為にこうしてくれているんだと―――

―――…やっと、分かった。




悲しい、淋しい。

好きだった、本当に大好きだった。



でもいつもあたしの心のどこかに、鷹巳がいたのかもしれない。




『ごめ、んね……』



泣いて喉が詰まって掠れた声。


シンのこと、本当にちゃんと好きだった…。




『…俺が振ったんやで?そこんとこ、勘違いすんやないで』




――あなたの優しさ。


最後にいつもの笑った顔が見れて良かった。
やっぱり、その方がシンらしいよ。





あなたはいつも、優しい人でした。

あたしをいつも、想ってくれていました。


あたしはそんなあなたに愛され……幸せだった。





シンがまだ泣き止まないあたしの頭をくしゃっと撫でて、耳元で言葉を囁いた。


その瞬間――あたしの涙が止まって。



………あたしは走り出した。



後ろに立っている…2年間の想い出の詰まった…シンのマンションから。