『…黙っててごめんな?』
シンがあたしに謝る。
信じられなかった。
今聞いた事実も。
…なにもかも。
ただ意味もなく、涙が流れていった。
『せやからもう心配することあらへん。優梨はあいつんとこに行けばええねん』
なんで…?
渡したくないって思ったんでしょう?
シンが幸せにしてくれるんでしょう?
なんで……別れるなんていうの?
あたしはこの2年間、シンのおかげで生きて来られたんだよ?
幸せだったんだよ…?
別れる必要なんてないじゃん…。
たとえ鷹巳がそう思っていたとしても――2年前の話でしょう…?
『なんで…!?なんでそんなこと言うのシン…?』
生きてるならそれでいい。
あいつにはあいつの人生を。
あたしにはあたしの人生がある。
それでいい……。
『今日が何の日か知っとるか…?』
声が聞こえてきて、顔をあげると……淋しげな顔にオレンジの光りが差し込んでいた。
もう夕方なのか…今気付いた。
そんなに時間が経っていたんだ。