部屋の中で唯一片付けられていない、
無造作に散らかる文庫本たちも、
見ると落ち着けて、
今やあたしの読書本として一つの楽しみと化している。
確かこないだ読んだのってあれだよね…
あたしは青いカバーの文庫本に手を伸ばす。
『優梨』
その声に伸ばしていた手を止めて、
振り返ろうとしたら後ろから抱きしめられた。
ふわっと優しい温もりが、あたしの体中に広がる。
『優梨…』
優しい暖かい声で、シンはあたしの名前を呼んで。
あたしを後ろに向かせる。
その瞬間、反射的にあたしは目を閉じる。
今度は唇から、優しい熱が伝わってくる。
体中に…その熱が行き渡って、とっても心地いい。
もう、次をわかってる。
あたしは心構えをして、それを待つ。

