ふぅ…と一度息を吐いて、
――――歩き出す。
久しぶりの感覚。
心臓がドキドキしてくる。
……懐かしい校舎。
――不意に足が止まった。
足がすくむ。
やっぱり、恐い。
何が。とかじゃなくて
…気持ち悪くなってきた。
『優梨ちゃん――?』
顔をあげると、“裕也”だった。
『裕也…くん?』
『呼び捨てでいいよ、大丈夫…?』
どうして気付かなかったのかわかった、かもしれない。
フレームの細い眼鏡。
ちょっとだけだけど、綺麗な顔がカモフラージュされている。
それならとてもじゃないけど、暴走族には見えない。