生きていても仕方ないじゃん。

麻莉がいないんじゃ。

手術受けるの辞めよう。

元はといえば、手術なんて大嫌いなんだし。

親のためじゃなくて麻莉のだめだったんだし。

がちゃ。

「拓人。」

「なんだよ母さん。」

入ってきたのは母さん。

「手術辞めるなんて言わないでね。」

俺の考えてくことわかるのか?

あ、そうか。母さん超能力使えるんだ。

「だったらどうなんだよ。
オレの人生だ。俺が何しようたって勝手だろ。」

「そんなことない。麻莉ちゃんだって生きて欲しいって思ってる。麻莉ちゃんのぶんまで生きたら?」

(そうか。その考えがあったか。)

「俺、手術受けるよ。手術は、嫌いだけど。助かる可能性は、ほとんどないけど。かけてみる。」

「良かった。拓海みたいになるんじゃないかって思ったわよ。」

拓海………弱気になってゴメンな。

拓海は、俺の唯一の双子の兄ちゃん。

俺より先に死んでしまった。恋人が誘拐されて、死んでしまったから生きる意味がなくなったとか言ってた。俺と一緒じゃん。