手術前日。

また、慌ただしいドタバタさ。

先生がまた、駆け込んでくる。

「先生。どうしたんですか?また俺に何か用ですか?」

「実は、拓人君。麻莉さんが…………よ。」

俺は嘘だと思い、心臓病の体だということを忘れて、麻莉がいる集中治療室に向かった。

『実は、拓人君。麻莉さんが、今さっき、亡くなったんだよ。』

麻莉の集中治療室は空っぽ。

ほんとなんだ。嘘だろ。
嘘だって言ってくれよ。

また、俺は自分の病室に駆け込んで声を殺して泣いた。