「....でも、もういいの」 そう言った彼女は諦めにも悲しみにも似た、感情の読めない表情をしていた。 「もういいって、どういうこと?」 言った自分の声が、情けなく震えている気がした。 「...そのままの意味だよ」 その言葉と共に、彼女は僕の横をすり抜ける。僕は離れていく彼女の細い手首を掴んだ。 進むことのできなくなった彼女は、ゆっくりと振り返る。