すると、前の席に座っていた赤い髪の男の人が「こんにちは」と言ってくれた。


「こんにちは。」


私も笑顔で返した。


「わあ!笑うと可愛いんだね!ねえ、名
なんていうの?」


「あやめです。」


「あやめちゃんか!俺は陸、よろしくね
!てかなんで敬語?タメじゃん。」


「あなたのことを、よく知りませんので
。」


私は基本、初対面の人、つまりは信用していない人には敬語で接する。


この学校で私が敬語ではなく話せる人はできるのだろうか。


「え〜?仲が良い人にはタメで話すって
こと?」


「まあ、そうですね。」


「わかった!」


一体このいちいちテンションの高い男は何がわかったのだろうと思う。


「じゃあ、あやめちゃんともっともっと
話して、もっともっと仲良くなって、
俺絶対タメ語で喋ってもらう!」


「はあ、そうですか。」


そんなに頑張らなくても、いずれは普通に話せるようになるだろうに。


「陸。」