私は中学3年、受験を間近に控えた12月、お父さんに呼び出された。


「まひる、今日は大事な話があって呼ん
だんだ。」


「うん。」


普段、仕事で忙しくてあまり家にいないお父さんに改まって呼び出されることは珍しい。


「もうすぐ受験だね。」


「うん。」


「実は、あやめには私の母校に行って欲
しいんだ。」


「と、いいますと?」


「まあ、あの鷲田に行って欲しいわけだ
が…。」


「鷲田……か。」


鷲田といえば、昔から不良校として有名だ。


一応共学ではあるが、女子は一人も通っておらず、おそらく来年も私が入学しない限りはいないだろう。


お父さんも以前はそこへ通っていた。


鷲田高校の当時の総長であったらしい。


今は自分で起業し、大変成功しているが、私は小さい頃から喧嘩を教えられ、今では繁華街へ行けば誰にも負けないくらいになっていた。


「わかった。鷲田に行く。」


「いいのか?女の子はあやめだけかもし
れないぞ?」


「いいよ。他に行きたいところもないし
。」


私には夢がない。


大人になったら私一人が食べていけるだけのお金があればいい。


「わかった。ありがとう、あやめ。」


私はにこっと微笑むと、お父さんの部屋を後にした。





そして私は、鷲田高校の受験にも無事受かり、晴れて鷲田高校の高校生になったのであった。